これまで3回に分けて、企画の作り方をざっくり紹介しました。
でも、「実際にどうテーマを決めればいいの?」「自分が興味のあることをどうやって企画にすれば良いの?」とイメージが湧きにくい部分もあったかもしれません。
そこでシリーズとして、具体的なテーマに沿った企画作りを一緒に考えていきます。
第2回のテーマは 生物多様性 です!
1.企画を立ち上げる理由を考えてみよう
やってみたい・ニーズがある・できるを念頭に考えてみよう
企画を考えるときの基本は「やってみたい・ニーズがある・できる」の3つ。
今回はその中でも「ニーズがある」に注目してみます。
生物多様性って、少し抽象的に聞こえるかもしれません。生物多様性とは、様々な生き物たちの豊かなつながりをいいます。
「大事そうだけど、なくなったら何が困るんだろう?」と思う方もいるはず。
生物多様性が失われると、たとえば…
・食べ物の多様性が失われてしまう(食卓がつまらなくなる!)
・自然豊かな観光地がなくなり、楽しめる場所が減ってしまう
こんなふうに、生物多様性って、実は私たちの暮らしや楽しみとも直結しているんです。だからこそ、多くの人にとってニーズのあるテーマだといえます。
2.企画テーマを具体的にしてみよう
1.で考えた必要性を踏まえ、具体的なテーマを決めよう
生物多様性は広い範囲で起きている問題です。そのため、「生物多様性を守ろう!」とだけ決めても、広すぎて動きにくいですよね。そこでテーマを少し絞り込んでみましょう。
・場所(どの地域で取り組むか)
・生態系サービス(食料、水、観光など人が受けている恩恵)
・生物種(特定の動物や植物)
例えば、「●●市では▲▲という動物を活かした観光業が盛ん」という情報があれば、その地域をターゲットにテーマを設定するのもいいですね。
3.情報収集のコツ
T型で収集しよう
テーマが決まったら、次は情報収集。
生物多様性に関する情報収集をする場合、どうやるのがよいでしょうか?
「生物多様性」と検索すればたくさん情報は出てきますが、内容が漠然としすぎていることも。だからこそ、具体的なテーマを設定して、そのキーワードで検索するのが大事です。
例えば「ナキウサギを保全しながら観光業をつくる」というテーマなら…
・ナキウサギがどんな環境で暮らしているのか
・生息地を守るためにどんな取り組みがされているのか
・他の地域では観光とどう結びつけているのか
などを調べるとよいでしょう。
ちなみに、ナキウサギはこんな感じです。(下記のサイトをご覧ください。)
また、調べる際の媒体もネットだけでなく、書籍・学会誌・専門家へのヒアリング・展示会の参加もぜひトライしてみてください!
でも、闇雲に検索するのは大変です。まずは具体的なテーマ設定、それをもとに関連分野で検索、色々な視点をいれるためにネット以外の手法もトライしてみる、と調べ方を広げてみてはいかがでしょうか。
4.企画の目的を考えてみよう
「あるべき姿」と「現状」のギャップを見つけよう
次は「あるべき姿」と「現状」のギャップを見つけるステップです。
そこで、設定したテーマの「あるべき姿」と「現状」を調べて考えてみましょう。
例えば、「▲▲地域のナキウサギを適正な生息数まで増やしたい」というテーマの場合、
・あるべき姿:ナキウサギが十分な数、生息している
・現状:ナキウサギは〇〇頭しかいない
こうしたギャップを埋めるには、ナキウサギの生息数が増えると良さそうです。そのため、生息数を増やすための手段としては、
・繁殖しやすい環境を増やす
・動物園などで増やした個体を地域に戻す
といった方法が考えられます。
ただし、忘れてはいけないのが「新しい問題を生まないかどうか」。
例えば、他の地域からナキウサギを移動させると、遺伝的な多様性の問題が出てくるかもしれません。こうしたリスクも合わせて、自分の考えた方法が新たな問題を生んでいないかを考えることが大切です。
5.手法を考えてみよう
「様々な視点からの手法案出し」と「目的との照らし合わせ」を心がけよう
目的が決まったら、最後はいよいよ手法の検討です。
ここでは「ナキウサギが繁殖しやすい環境を増やす」ための手法を考えてみます。
ポイントは2つ:
・できるだけ多くのアイデアを出すこと
・目的ときちんと照らし合わせること
最初は自由にアイデアを出してみて、あとから現実的かどうか・目的につながるかどうかをチェックすると整理しやすいです。質の高い案を考えるためにもまずは物量で案を考えてみましょう。
例えば、
・子育てがしっかりできるような餌場の環境を整備する
・繁殖するための場所を整備する
・繁殖に必要なエリアを確保する
などの案が考えられると思います。
おわりに
今回は「生物多様性」をテーマに、企画作りの流れを見てきました。
生物多様性は抽象的に感じやすいけれど、実は私たちの身近な暮らしや楽しみに直結しています。
大きなことをしようとしなくても大丈夫!まずは「自分が気になる生き物や地域」から考えてみると、企画も、ぐっと具体的になりますよ!
▼ 第1回の「海洋プラスチック編」はこちら

※過去記事で紹介した「環境アクションの企画づくり入門:はじめの一歩を踏み出すには?」も参考にするとより理解が深まります。

※この記事は、一般社団法人NatureLit JapanとNPO法人エコ・リーグとの共同著作物です。
※2025年8月27日にnoteに公開した「環境活動企画の作り方~生物多様性編~」の転記です。


