【会議参加報告】Global Nature Positive Summit 2026に参加しました!

7月14日・7月15日に熊本県で開催された、Global Nature Positive Summit 2026に参加しました!

本記事では、現地参加した代表理事の矢動丸が、Global Nature Positive Summitで印象に残ったセッションや、参加を通じて感じたことをご紹介します。

Global Nature Positive Summit とは?
Nature Positive Initiative (NPI)が主催する「昆明モントリオール生物多様性枠組み(GBF)」の実施に向けた取り組みを加速させることに焦点を当てた国際会議です。2024年10月にオーストラリアのシドニーで第1回が開催され、今回は第2回目の開催となりました。
参考:https://events.nikkeibp.co.jp/event/2026/GNPS_jp/ (公式ホームページ)

閉会式の様子

ローカルレベルの実践から広がるネイチャーポジティブ

Global Nature Positive Summitでは、本会議場でのハイレベルな議論から、多様なステークホルダーが主催するサイドイベントなど、多くのセッションが開催されていました。

参考:公式プログラム

ビジネスや金融、NGOの取り組みなど、どれも気になるものばかりでどのセッションに参加するか目移りしてしまうほどでした。その中でも、私が参加して印象に残ったサイドイベントを紹介します。

漁業者が動かす海洋ネイチャーポジティブ

一般社団法人BLUEREVIVEが主催する漁業者として海のネイチャーポジティブに取り組む方々のサイドイベントでした。

九州各地(玄界灘、山川、壱岐、日向の4地域)で海洋環境保全に取り組む漁業者が、それぞれの地域で進めている藻場再生やブルーカーボンなどの実践を紹介するセッションでした。現場で活動する漁業者を中心に、行政や企業、研究機関がどのように連携し、地域からネイチャーポジティブを実現していくのかが議論されました。

特に印象的だったのは、登壇者の多くがウェットスーツやウェーダー姿で登場したことです。普段から海で活動していることが一目で伝わる姿で、自らの経験や想いを語る様子からは、現場で積み重ねてきた実践への強い熱意が感じられました。国際会議という場で、日々の実践に基づいた経験を、実際に海で活動する漁業者が主役として発信していたことが、とても印象的で、心に残ったサイドイベントのひとつでした。

登壇者の方々

登壇者の方の資料は下記にて公開されていますので、ご関心のある方はぜひご覧ください!
https://bluerevive.jp/gnps/

世界最大の市民科学プロジェクトeBirdの、ネイチャーポジティブ実現への活用を考える

公益財団法人日本野鳥の会が主催する世界最大の市民科学プロジェクト「eBird」を紹介するセッションでした。

「eBird」は2002年にコーネル大学鳥類学研究室が開始した世界最大級の市民科学プロジェクトです。日本では2021年から日本野鳥の会が日本語版を運営しており、セッションでは、野鳥観察を通じて集められたデータが、生物多様性の保全や研究にどのように活用されているのかが紹介されました。

サイドイベントの様子

特に印象に残った機能が「Merlin(マーリン)」との連動です。「Merlin(マーリン)」では、音声認識も含めて、AIが自動で野鳥の識別を行うことができるため、見つけた鳥の種がわからなくても、記録ができるとのことです。

eBirdについてご関心のある方は下記よりご確認ください!(アプリはどなたでもダウンロードが可能です。)https://www.wbsj.org/activity/conservation/ebird/about_ebird/

人とのつながりが生まれる場としてのサミット

Global Nature Positive Summitには、日本を中心に世界各地から2,700名を超える関係者が参加し、2日間で延べ5,000名以上が来場していたそうです。また、同時開催されたNature Tech!では、企業を中心に多くの展示がなされ、活気に溢れていました。

国際会議や国際イベントというと、白熱する難しい議論の傍聴や、サイドイベントでの最新動向や情報の収集・発信などを思い浮かべる方も多いと思います。もちろんこれらも重要な参加の目的です。

しかし、そのような大規模なイベントだからこそ、久しぶりにお会いする方との近況報告、初めてお会いする方との今後の連携などの可能性の話など、人と人がつながり、新しいアイデアや協力関係が生まれる場でもあります。(久しぶりにお会いする方も多く、個人的には「同窓会」のような雰囲気も感じました。)

オンラインで顔を合わせることはあっても、実際に会って話すことで初めて聞ける考えや、新しい取り組み、今後の連携の可能性があります。私はこれまでの経験からも、改めてネットワーキング・人とのつながりが生まれる場としての機能も感じました。

久しぶりにお会いした関係者の方との記念写真。中央が矢動丸

まとめと今後の展望

サミットを通して改めて感じたのは、「ネイチャーポジティブ」は一部の専門家だけが進めるものではなく、地域の実践や企業、市民活動など、多様な主体が積み重ねることで実現していくものだということです。

「2030年までの国際目標」と聞くと、自分には関係ない、と思う方も少なくないと思います。

ですが、重要なのはひとりひとりの小さな行動です。それらの行動が積み重なることで、初めてネイチャーポジティブという大きな目標の達成に向かうことができると考えています。

今回のサミットでも、現場で活動する漁業者、市民科学を支える団体、企業、研究者など、多様な立場の方々がそれぞれの強みを生かしてネイチャーポジティブに取り組んでいました。

ネイチャーポジティブの実現のためには、様々な立場の方がそれぞれのフィールドで行動し、その実践を共有し、つながりを広げていくことが重要だと考えています。

今後もNatureLit Japanでは、人材育成と機会創出を通じて、そうした実践をつなぐ役割を担えるよう、活動を続けていきたいと考えています。

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この記事を書いた人

1993年生まれ。千葉大学園芸学研究科博士後期課程単位取得退学。博士課程進学時にIUCN日本委員会で勤務を始め、生物多様性条約(CBD)に関する情報収集・発信やユースの参画促進を担当。その後、生物多様性保全に本気で取り組む日本のユース団体「Change Our Next Decade(COND)」を立ち上げ、2023年まで代表を務めた。以降は、日本環境教育フォーラム(JEEF)臨時職員を経て、日本環境教育学会国際交流委員会(北米窓口・若手参画促進担当)での活動や、アジアの環境教育に関する英文ジャーナル『Environmental Education in Asia』の共同編集長も務める。
2024年12月には、環境アクションに挑戦する人を支える団体「NatureLit Japan」を設立。2025年度日中韓環境教育ネットワーク国内委員、 IUCN Task Force on Nature-based Educationメンバー。また、2026年に開催される第13回世界環境教育会議(WEEC)のユースリーダーズ委員会の東アジア代表に選出された。これまでに、環境イベントやワークショップの企画・実施、ユースを対象としたトレーニングプログラムの運営、CBDに関する国際動向の発信などを幅広く実施。国内外での講演経験も多く、次世代と共に「意味のある変化」を生み出し、持続可能な未来を描くことを目指している。