【現場訪問レポート】住民参加型の里山保全活動を活かした居場所「NPO法人どんぐり王国」

4月5日(日)に、愛媛県西予市宇和町に位置する「NPO法人どんぐり王国」を現地訪問し、活動内容や現場の紹介をしていただきました!

NatureLit Japanでは、国際的な枠組と地域での現場活動を繋ぐ必要性を強く感じており、まずその第一歩として、地域でのさまざまな取り組みを知ることが重要だと考えています。

その一環として、今回現地視察を行いました。

NPO法人どんぐり王国とは?
自然・動物・人とのふれあいを基本とした体験学習を通して、子育ての活動支援を実施するNPO法人。動物の飼育や、コミュニティガーデンや果樹園の維持管理、パン作り、薪割り、竹箸づくり体験など、幅広く活動を実施しています。
詳細:http://wwwa.pikara.ne.jp/donguri-oukoku/

どんぐり王国は、その名の通り、「王国」であるため、代表の兵頭さんは、訪れる方から「国王」と呼ばれ、親しまれていました。飼育小屋や、様々な理由から耕作放棄地となった場所を活用するコミュニティガーデン、第二農場などなど、車で移動する距離なのはまさに王国でした。

どんぐり王国を訪れてまず驚くのは、様々な動物の声。ヤギ、モルモット、うさぎ、犬、鶏が飼育されており、実際に触れ合うことができました。うさぎやモルモットは生まれたばかりの赤ちゃんも多く、こじんまりした感じが可愛かったです。

飼育室の奥には、堆肥を作る場所が。飼育している動物のフンや落ち葉から作り、半年ほどかかるそうで、徐々に匂いも消えていくそうです。

堆肥を作る場所で偶然カニを発見し、どこから?!と思っていたところ、すぐ近くの川からやってきたとのこと。雨が降るとサワガニが多く発生するそうで、川の水は名水100選にもなっているとのこと。でも、水源はいまだにわかっていないそうで、どんぐり王国には、なんとも面白い川が流れているのだと思いました。

私たちの訪問に合わせて昼食も用意してくださっており、パンも焼きたて!見た目が美しいだけでなく、味も抜群。その他にも、バーベキュー、カレー、手作りのジャムをいただき、お腹に余裕があれば、もっと食べたい!と思うほど、すべてがおいしかったです。

昼食後は、畑や農場の見学へ。こども農園には、目玉おやじやミニオンが設置しており、隣には「監視中」の文字が。「ゴミを捨てないでください」といったサインにするよりも、見てるよということを示すためにこのようにしたそうです。このミニオンは国王の手作りだそう。

こども農園を始めた時もまずは看板を設置した国王。地域の人からは「農園て何を植えてるの?」と聞かれて、「まだこれから」と答えたそうです。子ども農園の隣には、子ども果樹園が。元は耕作放棄地だったそうです。ここでは、はっさくや甘夏の収穫を体験させていただきました。

その中で「あかんま里山見守り隊」という豪雨災害をきっかけに始まった活動についても教えていただきました。地元の高校の探究学習の受け入れもしており、その活動を見守り隊の方が支えているそうです。最後にはパーティを開くほど、高校生も見守り隊の方もみんな仲良くなり、引率の先生も楽しそうに参加していたそうです。

どんぐり王国が位置する地区は、西日本豪雨災害で甚大な被害を受け、一時孤立してしまったという過去も。山の一部が抉られ、県道も土砂で通行不能に。災害で水の流れも変わって、今までビオトープに届いていた水が届かなくなる、ということも起こったそうです。そんな時でも、日頃からコミュニケーションがうまくいっている地区のみなさんで乗り越えることができたとのことでした。

お話を聞く中で1番印象的だったのは、国王が「まずやってみる」精神で挑戦を続けられていたことです。畑の作物も、食べたいと思ったら作ってみて何年か試す、失敗したらまた次の年にやれば良い、というマインドとおっしゃっていたことが印象的でした。何かを始める時に、失敗したらどうしよう、となかなか一歩を踏み出せない人にとって勇気をもらえる精神なのではないかと感じました。

「居場所」なだけあって、日頃からみんなでごはんを食べることや、ごはんを持ってきてくれる方も多いそうで、私が訪問している時には、みかんを持ってきてくれた人がいました。気軽に来れる、動物の飼育も、畑仕事も、維持管理も、やってみたいなら体験できる、そんな地域の人たちをつなぐ居場所として機能しているところなのだと感じました。

今回の訪問で、現場を知ることの大切さを改めて実感しました。HPやパンフレット、そこを知っている人から話を聞くなどして、概要を知ることができても、その場で活動する人の想いや考えは、話を聞いて、現場を見てみないとわかりません。何ができそうか、どんなことができそうか、意見交換をする中で新たなアイディアが生まれ、次の循環や、国際枠組と現場活動の接続に寄与するのではないかと感じました。

まずは現場を知ること、そんな当たり前のことを今後も大事にしていきたいと思います。

最後に、貴重なお時間をいただき、活動について教えてくださった国王とスタッフのみなさま、今回の訪問にあたりご尽力いただいた四国地方ESD活動支援センターのみなさまにこの場を借りて御礼申し上げます。

一般社団法人NatureLit Japan
代表理事 矢動丸琴子

NatureLit Japanのオウンドメディア「PathLight」について

PathLightは、環境問題や社会課題について「知る」「考える」「行動する」をつなぐためのメディアです。

世界や地域のさまざまな現場で出会った人や取り組み、多様な関わり方のヒントを通して、「自分にも何かできるかもしれない」と思えるきっかけを届けています。

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この記事を書いた人

1993年生まれ。千葉大学園芸学研究科博士後期課程単位取得退学。博士課程進学時にIUCN日本委員会で勤務を始め、生物多様性条約(CBD)に関する情報収集・発信やユースの参画促進を担当。その後、生物多様性保全に本気で取り組む日本のユース団体「Change Our Next Decade(COND)」を立ち上げ、2023年まで代表を務めた。以降は、日本環境教育フォーラム(JEEF)臨時職員を経て、日本環境教育学会国際交流委員会(北米窓口・若手参画促進担当)での活動や、アジアの環境教育に関する英文ジャーナル『Environmental Education in Asia』の共同編集長も務める。
2024年12月には、環境アクションに挑戦する人を支える団体「NatureLit Japan」を設立。2025年度日中韓環境教育ネットワーク国内委員、 IUCN Task Force on Nature-based Educationメンバー。また、2026年に開催される第13回世界環境教育会議(WEEC)のユースリーダーズ委員会の東アジア代表に選出された。これまでに、環境イベントやワークショップの企画・実施、ユースを対象としたトレーニングプログラムの運営、CBDに関する国際動向の発信などを幅広く実施。国内外での講演経験も多く、次世代と共に「意味のある変化」を生み出し、持続可能な未来を描くことを目指している。