前回までは「海洋プラスチック」「生物多様性」をテーマに企画づくりを考えてきました。
第3回となる今回は 気候変動を取り上げます。
参考:気候変動といえば、今月9月末にニューヨークでCLIMATE WEEK 2025、11月にブラジルで気候変動条約のCOP30が開催されます💡
気候変動はニュースや学校でも耳にすることが多いテーマですが、いざ「企画にする」となると少し難しく感じる人もいるかもしれません。そこで今回も、企画づくりのステップを一緒に見ていきましょう!
(※過去記事で紹介した「企画を立ち上げる必要性~手法の決め方」もあわせて読んでいただくとさらにわかりやすいです!)
1.企画を立ち上げる理由を考えてみよう
やってみたい・ニーズがある・できるを念頭に考えてみよう
企画の基本は「やってみたい・ニーズがある・できる」の3つ。今回はその中でも「ニーズがある」に注目します。
気候変動は、主に温室効果ガスが要因。だからこそ「どうやって排出を減らすか」を考えるのが重要です。
でもそれだけではありません。最近では「気候変動の影響をどう小さくするか(適応策)」も注目されています。
つまり、
要因を取り除く(緩和策)
影響を最小限にする(適応策)
この両方から企画を考えられるのが、気候変動の特徴です。
参考:「緩和」と「適応」については下記のサイトがわかりやすいです。
気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)
2.企画テーマを具体的にしてみよう
1.で考えた必要性を踏まえ、具体的なテーマを決めよう
気候変動は課題の要因が比較的わかりやすいので、具体的なテーマも見つけやすい分野です。
例えば…
・工場の排出量を一気に減らす取り組みを考える
・多くの人が少しずつ排出量を減らせる方法を広める
このように、「何を対象にするか」を具体的にするだけで、アプローチが大きく変わってきます。
3.情報収集のコツ
T型で収集しよう
テーマが決まったら、次は情報収集です。
「気候変動」と検索すれば大量の情報が出てきますが、漠然としすぎていて企画に落とし込みづらいことも。
だからこそ、具体的なテーマを設定してから調べるのがおすすめです。
例えば「〇〇大学の温室効果ガス排出量を減らす」というテーマなら…
①大学内でどのくらい排出されているのか(そもそも測定しているのか?)
②一番多い排出源はどこか
③他大学の事例はあるか
こうした視点で調べていくと、必要な情報にたどり着きやすくなります。
調べていく中で「排出量を減らしたいけど、そもそもデータがない!」といった新しい課題に気づくこともあるかもしれません。その場合は、テーマを柔軟に見直すのもポイントです。
また、ネット検索だけでなく、書籍・学会誌・専門家へのヒアリング・展示会なども活用すると視野が広がります。
4.企画の目的を決めてみよう
「あるべき姿」と「現状」のギャップを見つけよう
次は「あるべき姿」と「現状」のギャップを探します。
例えば「〇〇大学の温室効果ガス排出量を可視化したい」というテーマなら…
あるべき姿:大学の排出量がすべて把握されている
現状:そもそも排出量を測っていない
このギャップを埋めるには、
計測機器を導入する
既存のデータから推定する
といった方法が考えられます。
もちろん、予算や人手の問題もあります。計測機器の導入が難しければ「できる範囲でどう工夫できるか」を考えることも大切です。
5.手法を考えてみよう
「様々な視点からの手法案出し」と「目的との照らし合わせ」を心がけよう
最後は目的を達成するための手法です。
ポイントは、下記の2つです。
とにかく多くのアイデアを出す
目的ときちんと照らし合わせる
ブレインストーミングでも、最初は数を出すことを意識しましょう。量を出し切ったあとに出てくるアイデアが、意外と「これは!」というものになることも多いんです。
例えば…
他大学のデータを参考に予測モデルを作る
簡易的な計測機器を導入してみる
など、工夫次第でさまざまな手が考えられます。
おわりに
今回は「気候変動」をテーマに企画づくりを考えてみました。
「緩和」と「適応」の両面からアプローチできるのが気候変動の面白さでもあります。
まずは、自分が関心を持てる切り口から企画を組み立ててみてください。
小さな一歩からでも、企画はどんどん広がっていきますよ。
▼ 第1回の「海洋プラスチック編」はこちら

▼ 第2回の「生物多様性編」はこちら

※過去記事で紹介した「環境アクションの企画づくり入門:はじめの一歩を踏み出すには?」も参考にするとより理解が深まります。



※この記事は、一般社団法人NatureLit JapanとNPO法人エコ・リーグとの共同著作物です。
※2025年9月16日にnoteに公開した「環境活動企画の作り方~気候変動編~」の転記です。
